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日本泌尿器科學會雜誌の検索結果

もしかして: 日本泌尿器科學會雜誌 

治療評価の標準化 CiNiiでみる

著者名:
荒川 孝  奴田原 紀久雄  宮澤 克人  東 義人  麦谷 荘一  山口 秋人 

抄録:

 現在の尿路結石の外科的治療法は, 結石を何らかの手段で破砕してその破砕片を用手的に体外に摘出するか, 破砕片を尿の流れに任せて自然に排出させる方法が主体である. 結石を破砕する手術には, 体外から結石を砕くESWL, 経尿道的に逆行性に体内で砕くr-TUL (硬性尿管鏡を用いたTUL), f-TUL (軟性腎盂尿管鏡を用いたTUL), 経皮的に造設した腎瘻から順行性に体内で砕くPNL, さらにはf-TULとPNLを同時に行うECIRS (Endoscopic Combined intra-renal Surgery) があり実に多種多様である. 実臨床においては体腔鏡を用いた切石術も実施されている. これらの治療法を正確に比較評価するためには, 治療対象となる尿路結石の正確な術前評価が成されなければならない. 治療結果評価についてもendpointをどこに置くかによって, その治療法の評価が変わってくる. これらの評価について, 本邦では1989年に日本泌尿器科学会雑誌に掲載された故園田教授等による『Endourology・ESWLによる結石治療の評価基準』1)が公表されており, 結石の存在する位置を示すR1, R2, R3, U1, U2, U3等の表現は馴染み深く現在でも浸透している. 一方で, この基準では結石の術前の評価方法としての結石の大きさを長径で示す事が示されている. しかしながら, 長径だけで結石の大きさを表現すると結石の厚みという要素が無視されてしまい結石の正当な評価はなされない. また, 尿路結石の外科的治療はstone freeがendpointとなる前提であるが, 結石を破砕する術式においては砕いた結石のかけらが尿路に取り残される残石と言う副産物が常に問題となる. Stone free以外は一切失敗として扱うのか? それとも成功例として扱う破砕片の残石をある程度まで許容するのか? 許容するならばどの程度まで? など, これらclear cutに出来ないジレンマを多くの泌尿器科医は抱えている. 本稿では1) 術前の結石の大きさを体積で評価する, 2) 結果の判定に残石率を追加する, 3) 結果の判定において尿路閉塞の解除の有無を追加する等の新たな提言を試みた.


出版年月日:
2020 , 
巻:
33 , 
号:
1 , 
ページ:
46-51 , 
ISSN:
2186-1889

膀胱憩室内に発生した小細胞癌の一例 CiNiiでみる

著者名:
滝澤 弘樹  阿部 宏一  植木 貞一郎 

抄録:

膀胱憩室内に発生した小細胞癌の一例を報告する.症例は80歳男性.血尿による膀胱タンポナーデを主訴に当科受診した.出血コントロール困難にて緊急で経尿道的電気凝固術(Transurethral electrocoagulation:TUC)を施行したところ,右側壁の膀胱憩室内に非乳頭状広基性腫瘍を認めた.腫瘍を可及的に経尿道的膀胱腫瘍切除術(Transurethral resection of bladder tumor:TURBT)し,病理学的検査を施行したところ,膀胱小細胞癌の診断であった.TURBT後に施行したCT・MRIでは,膀胱憩室内に充満する腫瘍を認め,腫瘍基部で脂肪織まで達する壁外浸潤を認めたものの,明らかな遠隔転移は認めなかった.術前化学療法として,IP療法(イリノテカン,シスプラチン)を3コース施行し,膀胱部分切除術を施行した.術後経過は良好で,術後13カ月を経過した現在,再発を認めていない.膀胱憩室腫瘍は,診断が困難な上に憩室壁が菲薄で壁外浸潤を来しやすく,予後不良である.また,膀胱小細胞癌も急速に進行する予後不良な組織型で,その頻度は稀である.自験例のように膀胱憩室内に発生した小細胞癌の報告は少なく,我々が調べた限りでは本邦5例目,術前化学療法を施行し集学的治療を行った症例は,本邦1例目であった.小細胞癌は化学療法感受性が高いため,適切な術前化学療法を併用することにより,局所治療においても低侵襲な術式で良好な成績を得られる可能性がある.


出版年月日:
2019 , 
巻:
110 , 
号:
4 , 
ページ:
261-265 , 
ISSN:
0021-5287

後腹膜ドレナージにより救命し得た気腫性膀胱炎の1例 CiNiiでみる

著者名:
佐々木 雄太郎  塩崎 啓登  中西 良一  井﨑 博文  神田 和哉 

抄録:

気腫性膀胱炎は,ガス産生菌が膀胱壁内および腔内に感染しガスが貯留する稀な疾患である.90%は保存的治療で軽快するが,10%は外科的治療を必要とする.今回,我々は敗血症性ショックをきたした気腫性膀胱炎に対して,後腹膜ドレナージを含めた集学的治療により救命し得た1例を経験したので報告する.76歳,女性.腰椎圧迫骨折のため近医に入院中だった.意識障害,血圧低下を認め,当院に救急搬送された.気腫性膀胱炎を認め,尿道カテーテルの留置,抗菌薬の投与,昇圧剤の投与による保存的治療を行った.しかし,敗血症性ショックをきたしたため,後腹膜ドレナージを行った.術後,全身状態は改善した.外科的治療を要した気腫性膀胱炎の本邦での報告は5例のみであり,それらの文献的考察も併せて報告する.


出版年月日:
2019 , 
巻:
110 , 
号:
4 , 
ページ:
270-274 , 
ISSN:
0021-5287

抗凝固療法抵抗性の深部静脈血栓症精査中に診断に至った好酸球性膀胱炎の一例 CiNiiでみる

著者名:
林田 迪剛  矢野 晶大  萩原 喜一  永本 将一  小川 貢平  阪口 和滋  浦上 慎司  岡根谷 利一 

抄録:

症例は76歳,男性.抗凝固療法抵抗性の深部静脈血栓症(DVT)で循環器内科入院中に肉眼的血尿が出現し,当科紹介となった.血液検査では好酸球増多,血小板減少があり,尿細胞診はclass Iで尿中に好酸球を少数認めた.膀胱鏡では浮腫を伴う腫瘤性病変が広範に存在し,MRIでは筋層浸潤性膀胱癌を疑う所見であったため,経尿道的膀胱腫瘍切除術を施行した.病理組織学的検査の結果,悪性所見を認めず,多数の好酸球が膀胱間質に浸潤しており,好酸球性膀胱炎と診断した.好酸球性膀胱炎に対しプレドニゾロンを投与したところ,速やかに好酸球数は減少,血小板数は増加し,膀胱鏡にて腫瘤性病変の消失を確認した.投薬開始後8カ月現在,プレドニゾロン投与量を漸減中であるが,DVTは改善傾向であり,好酸球性膀胱炎の再発も認めていない.


出版年月日:
2019 , 
巻:
110 , 
号:
4 , 
ページ:
266-269 , 
ISSN:
0021-5287

尿路原発小細胞癌の4例 CiNiiでみる

著者名:
小林 泰之  新井 浩樹  本多 正人  安原 裕美子 

抄録:

小細胞癌は肺原発が主であり尿路原発のものは比較的稀とされる.小細胞肺癌と同様に尿路原発小細胞癌は予後不良とされており,膀胱原発で全生存期間の中央値が19.6カ月~1.7年,上部尿路原発では15カ月との報告がある.治療法としては根治手術及び小細胞肺癌に準じた化学療法が有効とされる.しかし発生頻度が少なく標準治療は確立していない.今回我々は2007年から2018年までに当科で尿路原発小細胞癌と診断した4例(膀胱原発小細胞癌2例,尿管原発小細胞癌2例)について臨床的に検討したので若干の文献的考察を加えて報告する.


出版年月日:
2019 , 
巻:
110 , 
号:
4 , 
ページ:
255-260 , 
ISSN:
0021-5287

腎静脈原発平滑筋肉腫の1例 CiNiiでみる

著者名:
関戸 翔  神田 英輝  有馬 公伸  杉村 芳樹  西川 晃平  景山 拓海  東 真一郎  三木 学  加藤 学  舛井 覚  吉尾 裕子  長谷川 嘉弘 

抄録:

症例は47歳女性.右腰背部痛で近医受診し,CTにて右腎門部に6cm大の腫瘍性病変を指摘され当科紹介.造影CT,造影MRIにて内部壊死を伴い,造影効果を認める充実性腫瘍を認めた.右腎静脈は腫瘍により閉塞し,下大静脈には腫瘍の浸潤と腫瘍塞栓を疑う所見を認めた.下大静脈・右腎門部浸潤を伴う後腹膜腫瘍の診断にて,開腹による腫瘍摘出術を施行した.腫瘍周囲の癒着は軽度で腫瘍,右腎,下大静脈の一部を一塊に摘出した.腫瘍は6cm大で割面は黄白色,腎実質との連続性は認めなかった.組織学的には,紡錘形異型細胞が束状に増殖し,免疫染色にてdesmin(+),caldesmon(+),HHF35(+)であり腎静脈原発平滑筋肉腫と診断した.切除断端は陰性であった.術後20カ月を経た現在まで再発,転移は認めていない.


出版年月日:
2019 , 
巻:
110 , 
号:
4 , 
ページ:
244-248 , 
ISSN:
0021-5287

乳癌の腫瘍内転移をきたした腎細胞癌の一例 CiNiiでみる

著者名:
柴田 洋佑  安井 将人  田尻下 紘直  古屋 一裕  舩橋 亮  太田 純一  小野 響子 

抄録:

症例は76歳女性.左胸部潰瘍形成を主訴に当院乳腺外科を受診した.CTで左乳房に潰瘍形成を伴う9cm大の浸潤性腫瘤,骨・肺に多発転移,左腋窩・縦郭に多発リンパ節腫大,左腎上極に4cm大の腫瘤を認めた.左乳房腫瘤の針生検を施行し,乳癌T4cN3M1,StageIVの診断にて,内分泌療法・化学療法を施行した.乳癌治療開始2年後に,CTにて左腎腫瘤の増大を認めたため当科紹介となった.腎細胞癌を疑い後腹膜鏡下左腎摘除術を施行した.手術検体では,左腎上極に褐色で境界明瞭な充実性の結節を認めた.病理所見は淡明細胞癌を認めたが,その腫瘍内部に乳癌の転移巣が混在した所見を認め,腎淡明細胞癌内への乳癌転移の診断となった.現在腎摘出後2年が経過し,腎細胞癌は再発無く,乳癌は内分泌療法を施行中である.


出版年月日:
2019 , 
巻:
110 , 
号:
4 , 
ページ:
239-243 , 
ISSN:
0021-5287

急速に進行した腎Mucinous tubular and spindle cell carcinomaの1例 CiNiiでみる

著者名:
小林 泰之  新井 浩樹  本多 正人  寺田 晴子  安原 裕美子 

抄録:

腎mucinous tubular and spindle cell carcinoma(MTSCC)は2004年にWHO分類に加えられた腎癌の組織亜型で稀とされる.今回我々は急速に進行した腎MTSCCの1例を経験したので報告する.患者は75歳,女性.非定型抗酸菌症及びC型肝炎で経過観察中,左腎腫瘍を指摘され当科紹介受診となる.腹部CTにて長径約35 mmの左腎腫瘍を認めエコーガイド下に腎生検を施行,左腎癌(MTSCC)と診断し後腹膜鏡下左腎摘除術を施行.MTSCC,pT3aN0M0と診断し外来経過観察の方針となる.術後1カ月に施行した胸部CTで多発肺結節を指摘,気管支鏡下生検にて腎MTSCCの肺転移と診断した.術後2カ月で肺転移の増悪,縦隔リンパ節転移及び多発骨転移を認めた.積極的な治療は希望されず術後4カ月で癌死した.腎MTSCCは比較的予後良好と考えられてきたが本症例のように急速に進行する症例も存在するため注意が必要と考えられた.


出版年月日:
2019 , 
巻:
110 , 
号:
4 , 
ページ:
249-254 , 
ISSN:
0021-5287

術前診断で腎盂癌を疑い免疫染色にて診断したXp11.2転座型腎細胞癌の1例 CiNiiでみる

著者名:
保科 勇斗  増田 芳雄  森川 鉄平  錦見 礼央  米岡 祐輔  齊川 周  井上 泰  安部 光洋  吉松 正  亀山 周二  志賀 淑之 

抄録:

症例は33歳女性,下腹部痛と嘔気にて当院消化器内科受診.単純CTにて右腎出血疑いとして当科紹介.肉眼的血尿も認めており,造影CT撮像したところ右腎上極に早期相で不均一に濃染し,後期相で染まり抜けを認める29mm大の充実性腫瘤を認め,明らかな偽被膜はなく腎実質との境界は不明瞭であった.リンパ節や他臓器への転移は認めなかった.以上の所見から右腎細胞癌または右腎盂癌の腎実質浸潤を疑い,若年者で腫瘍残存のリスクを考慮し拡大的に捉え右腎尿管全摘出術・リンパ節郭清を施行した.摘出検体の腫瘍内部は著明な壊死と血腫が広がっており,腎盂にまで浸潤していた.病理診断にて特徴的な組織学的所見とFISH法による遺伝子学的結果よりXp11.2転座型腎細胞癌と診断した.術後の追加治療は行わず,現在も外来にてフォローしているが明らかな再発・転移は認めていない.Xp11.2転座型腎癌の症例は報告数がまだ少ないため,ステージ別の治療法やフォローの期間についても不確定なところが多く,予後も不明である.今回は当院で経験したXp11.2転座型腎細胞癌の1例について若干の文献的考察を加えて報告する.


出版年月日:
2019 , 
巻:
110 , 
号:
4 , 
ページ:
234-238 , 
ISSN:
0021-5287

小児泌尿器疾患における膀胱皮膚瘻の臨床的検討 CiNiiでみる

著者名:
小林 大剛  長谷川 雄一  今井 悠  笠井 奏子  木村 高弘  頴川 晋 

抄録:

(目的) 小児泌尿器疾患で造設された膀胱皮膚瘻の有用性と合併症について後方視的に検討することを目的とした.

(対象と方法) 対象は2003年から2017年の14年間で膀胱皮膚瘻を造設した28例(男児9例,女児19例).有用性は,術前後の有熱性尿路感染症の罹患率について人年法で比較検討した.合併症は,有害事象とその頻度および再手術症例について集計し,臨床的背景について検討考察した.

(結果) 術前後の有熱性尿路感染症の人年法による罹患率は0.058から0.012回/人・年に減少し,統計的に有意差を認めた(p<0.001).合併症は膀胱粘膜の脱出が6例(21.4%)と最多であり,排便コントロールが不良の症例に多かった.再手術は膀胱粘膜の脱出の3例と狭窄の2例に施行され,すべてLapides法による再建で再発はなかった.

(結論) 膀胱皮膚瘻造設は,有熱性UTIの罹患率の低下に寄与し有用と考えられた.排便コントロールが不良であることは,膀胱粘膜の脱出のリスクファクターであると思われた.


出版年月日:
2019 , 
巻:
110 , 
号:
4 , 
ページ:
230-233 , 
ISSN:
0021-5287

Cognitive fusion前立腺生検におけるVIVID(Visualization of Various Integration with Diffusion)の有用性 CiNiiでみる

著者名:
大津 晃  清水 信明  堀越 浩幸  村松 和道  蓮見 勝  飯島 美砂  澤田 達宏  大谷 和歌  森田 崇弘 

抄録:

(目的) multiparametric MRI画像を再構成したVIVID(Visualization of Various Integration with Diffusion)画像を作成し,前立腺生検に与える影響を検討した.

(対象と方法) 対象は8~20カ所の系統生検に加え,MRI画像を参考に1カ所の標的生検を施行した80例である.

(結果) significant cancer検出率は61%,PI-RADS 4 or 5のsignificant cancer検出率は55%,VIVID score 4 or 5のsignificant cancer検出率は55%と差を認めなかった.PI-RADS 4で,TZにT2強調画像のみ所見のある3例が,VIVID scoreでは1または2と評価された.同部位から標的生検で癌は検出されなかった.

(結論) VIVIDは,multiparametric MRIにおいて,T2強調画像のみ所見のあるTZ病変を正しく除外している可能性が示唆された.


出版年月日:
2019 , 
巻:
110 , 
号:
4 , 
ページ:
223-229 , 
ISSN:
0021-5287

von Willebrand病患者に対する腎部分切除術の経験 CiNiiでみる

著者名:
伊藤 英  内藤 整  柴崎 智宏  川添 久  一柳 統  加藤 智幸  長岡 明  土谷 順彦  樺澤 崇充  相澤 桂子  石澤 賢一  山岸 敦史  黒川 真行  堀江 繁光  八木 真由  黒田 悠太  菅野 秀典  櫻井 俊彦  西田 隼人 

抄録:

症例は28歳男性.主訴は両側腰背部の疼痛と発熱で前医を受診し右複雑性腎囊胞(Bosniak分類 IIF,出血性囊胞の疑い)と右腎結石症と診断され当院へ紹介された.結石陥頓が疑われflexible transurethral lithotomyを施行されたが症状は改善せず,精査を継続したところAPTTの延長が認められ,von Willebrand disease(VWD)と診断された.出血性腎囊胞による疼痛が否定できず,腎部分切除術(PN)を施行することとした.周術期はvon Willebrand factor(VWF)活性を測定しながら,VWFを補充した.術中の出血コントロールは良好でありVWF活性も十分であったが,術後6日目に仮性動脈瘤からの出血を認めた.緊急で動脈塞栓術を施行し,VWFの補充を再開した.術後14日目に凝固因子の補充を終了し,手術後23日目に退院した.以降出血や疼痛の再発はない.VWD患者においては周術期にデスモプレシンの投与またはVWFの補充を行うことが推奨されている.それにより,安全に手術を施行した報告が散見されるものの,これまでVWD患者におけるPNの報告は本症例を含め3例のみである.本症例においては周術期のVWF活性が十分であったにも関わらず,術後出血をきたした.VWF患者におけるPNでは,周術期の出血性合併症の可能性を念頭に置いた慎重な経過観察が必要である.


出版年月日:
2019 , 
巻:
110 , 
号:
3 , 
ページ:
196-200 , 
ISSN:
0021-5287

泌尿器科医の関与した排尿ケアの臨床的検討 CiNiiでみる

著者名:
辻本 裕一  谷 優  山道 岳  辻村 剛  中田 渡  任 幹夫  辻畑 正雄 

抄録:

(目的) 2016年11月から2018年6月までに包括的排尿ケアを行った207例(泌尿器科112例,他科95例)の臨床的検討を行った.

(対象と方法) 年齢は27から94歳(平均73),男性170例,女性37例,BMIは11.6から43.7(平均23.3),生活自立度(J/A/B/C)は132/23/28/24例,既往歴は糖尿病ありが47例,脳神経疾患ありが36例,尿閉ありが25例,入院時にバルーンカテーテル留置ありが17例,緊急入院が53例,入院時に手術予定ありが174例であった.

(結果) 泌尿器科112例はロボット支援下前立腺全摘除術が60例,経尿道的前立腺切除術とホルミニウムレーザー前立腺核出術が36例,その他が16例であった.1年後のパッドフリー(パッドフリーはパッド1枚以下/日と定義)率は92%,カテーテルフリー率は93%であった.他科95例の1年後のカテーテルフリー率は66%,1人を除いて全て100日以内であった.またカテーテルフリーの症例と自己導尿の手技を習得した排尿自立については1年で91%であった.多変量解析ではカテーテルフリーに関しては下部尿路機能4以下が,排尿自立に関しては排尿自立度(4以下)が有意に独立した良好な因子であった.

(結論) カテーテルフリーや排尿自立を目指すには包括的な排尿ケアが重要であることが示唆された.


出版年月日:
2019 , 
巻:
110 , 
号:
3 , 
ページ:
185-190 , 
ISSN:
0021-5287

腎盂癌との鑑別が困難であった腎洞限局性結節性アミロイドーシスの1例 CiNiiでみる

著者名:
大橋 朋悦  田中 順子  浅井 健太郎  島田 聡子  高橋 洋平  古川 亨 

抄録:

症例は80歳男性.外傷時に撮影したcomputed tomography(CT)にて偶発的に左腎盂腫瘤を指摘され,当科紹介受診した.精査の造影CTにて左腎盂を占拠する不均一な造影効果を有する腫瘍性病変および,大動静脈周囲の多発リンパ節腫大を認めた.左腎盂癌cT3N2M0の術前診断で,左腎尿管全摘除術およびリンパ節郭清術を施行した.病理結果は腎洞に限局した限局性結節性アミロイドーシスであった.


出版年月日:
2019 , 
巻:
110 , 
号:
3 , 
ページ:
191-195 , 
ISSN:
0021-5287

去勢抵抗性前立腺癌に対するアビラテロンの治療成績と予後関連因子の検討 CiNiiでみる

著者名:
蓮見 勝  加藤 舞  大津 晃  村松 和道  清水 信明 

抄録:

(目的) 去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)症例に対するアビラテロンの治療効果と全生存率に関連する予後因子,安全性について検討した.

(対象と方法) 群馬県立がんセンターにおいて2014年10月から2017年6月までにアビラテロンを投与したCRPC症例50例.投与量は1,000mg/day.投与後PSA値を測定した46例を対象にPSA奏功率を検討した.一次内分泌療法の内容,投与開始時PSA値,Gleason score(GS),CRPCまでの期間(Time to CRPC),PSA奏効率,エンザルタミド投与歴,ドセタキセル投与歴,転移の状態と全生存率との関連を後ろ向きに検討した.

(結果) 年齢中央値74.5歳,アビラテロン開始時PSAは中央値15.9ng/ml,GS 8以上が39例(78%)であった.50%以上PSA奏功は,ドセタキセル投与前症例11例(45.8%),ドセタキセル後1例(4.5%),エンザルタミド投与前症例11例(55%),エンザルタミド後1例(3.8%)に得られた.Time to CRPCが1年以上の群の全生存期間は1年未満の群に対し有意に延長していた.有害事象は肝機能障害(22%)や疲労(6%)などを認めたが重篤なものはなかった.

(結論) CRPCに対するアビラテロン投与は比較的安全であり,Time to CRPCが1年以上の症例において,より効果が期待できると考えられた.


出版年月日:
2019 , 
巻:
110 , 
号:
3 , 
ページ:
177-184 , 
ISSN:
0021-5287

MIBGシンチグラフィ陰性褐色細胞腫クリーゼの一例 CiNiiでみる

著者名:
勝又 有記  髙井 優季  黒本 暁人  諸角 謙人  星 宣次  沼畑 健司  笹野 公伸 

抄録:

症例は48歳男性,2017年6月強い頭痛,血圧上昇を主訴に受診し高血圧クリーゼの診断で入院,ICU管理となる.単純CTにて右副腎にφ60 mm大の腫瘤を認めた.MIBGシンチグラフィは陰性であったが血液検査・蓄尿検査にてカテコラミンの異常高値を認め褐色細胞腫の診断となった.厳重な循環動態管理の上で大量補液・薬物加療を行い,循環血液量の是正および脈拍・血圧の安定化を行った後に,第15病日に手術を施行した.十分な術前管理の結果,術中は腫瘤の圧排による血圧変動は少なく,摘出後の血圧低下も軽度であり,術後昇圧剤は速やかに中止可能であった.本症例は病理の免疫染色においてMIBGシンチグラフィ陰性と関連するSDHB変異は否定的であった.病理学的にも褐色細胞腫の診断であったが全体に壊死組織が目立ち,広範な梗塞・壊死像を呈していた.本症例は亜急性の腫瘍虚血から広範な壊死を来し,なんらかのきっかけで壊死した腫瘍細胞から急激にカテコラミンが大量放出されクリーゼに至ったものと考えられた.また広範な壊死によってMIBGの取り込みが低下しシンチグラフィ陰性に至ったと推察された.


出版年月日:
2019 , 
巻:
110 , 
号:
3 , 
ページ:
206-210 , 
ISSN:
0021-5287

ドセタキセル療法後のエンザルタミドで完全奏効を得た高度リンパ節転移を伴った去勢抵抗性前立腺癌の1例 CiNiiでみる

著者名:
石井 龍  井手 知子  宮嶋 哲匡  冨永 光将  宮島 茂郎  平 浩志  原岡 誠司 

抄録:

74歳男性.2012年に前立腺癌cT4N0M0,Gleason score 5+4と診断された.LH-RHアゴニストとビカルタミドを開始しPSAは25.55ng/mlから0.02ng/mlに低下した.

治療開始して3年後,PSAが4.81ng/mlに上昇し,広範囲にわたる高度のリンパ節腫大を伴った転移性去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC)となった.左鎖骨上リンパ節の開放生検で前立腺由来の低分化腺癌の転移と判明した.LH-RHアゴニストとビカルタミド継続下にドセタキセルとプレドニゾロンの化学療法を行った.CTで骨盤内の1個のリンパ節を除いて多くのリンパ節は縮小し,部分奏効(PR)を得た.しかしその1個のリンパ節が次第に増大し,CRPCに対するドセタキセルの効果に不均一性が見られた.ドセタキセルは有害事象と病勢進行(PD)のため7コースで終了した.

エンザルタミドによる2次ホルモン療法を開始した.治療6カ月後,CTでリンパ節腫大は消失し固形がんの治療効果判定(RECIST)の判定基準で完全奏効(CR)となり,PSAは0.01ng/mlに低下した.現在28カ月間CRを継続している.


出版年月日:
2019 , 
巻:
110 , 
号:
3 , 
ページ:
201-205 , 
ISSN:
0021-5287

悪性腫瘍と鑑別困難であったLocalized Cystic Disease of the Kidneyの小児の1例 CiNiiでみる

著者名:
藤本 幸太  松山 聡子  松井 太  矢澤 浩治  松本 富美 

抄録:

症例は,6歳,女児.肉眼的血尿と右側腹部痛を主訴に前医を受診した.画像診断で右腎に2~10mmの囊胞をびまん性に認め,精査・加療目的に当科紹介となった.悪性腫瘍を否定できなかったため,後腹膜鏡下右腎摘除術を施行した.病理組織検査では,腎皮質から髄質,腎乳頭にかけて大小多数の囊胞があり,被膜を持たず,正常の腎組織に囲まれた囊胞性病変でlocalized cystic disease of the kidney:LCDKと診断された.LCDKは稀な囊胞性腎疾患で,Wilms' tumorの好発年齢である10歳未満の小児ではこれまでに5例の報告しかない.非進行性で,非遺伝性の囊胞性腎疾患で,病変部以外の腎機能は保たれており,保存的治療が望ましい.しかしながら,本症例では症候性であったこと,画像診断で腫瘍との鑑別が困難であったこと,びまん性であったことより腎摘除に至った.


出版年月日:
2019 , 
巻:
110 , 
号:
3 , 
ページ:
215-218 , 
ISSN:
0021-5287

ロボット支援体腔内回腸導管造設術後に生じた回腸導管・小腸瘻の1例 CiNiiでみる

著者名:
佐々木 雄太郎  塩崎 啓登  中西 良一  井﨑 博文  神田 和哉 

抄録:

回腸導管造設術の合併症として,腎盂腎炎,腸閉塞,創部感染などの頻度が高いが,回腸導管・小腸瘻は稀である.今回,我々はロボット支援体腔内回腸導管造設術後に生じた回腸導管・小腸瘻の1例を経験したので報告する.81歳,男性.筋層浸潤性膀胱癌に対して,ロボット支援膀胱全摘除術及び体腔内回腸導管造設術を施行した.術後22日目に糞尿があったため回腸導管造影を行ったところ,回腸導管・小腸瘻を認めた.絶食として中心静脈栄養を開始し,保存的加療を行った.術後48日目に再び回腸導管造影を行ったところ,瘻孔の残存を認めた.そこで,術後51日目に瘻孔閉鎖術を行った.本邦における本疾患の報告は4例のみであり,それらの文献的考察も併せて報告する.


出版年月日:
2019 , 
巻:
110 , 
号:
3 , 
ページ:
211-214 , 
ISSN:
0021-5287

骨盤臓器脱と誤診された尿道脱の2例 CiNiiでみる

著者名:
松井 宏考  加藤 久美子  川西 秀治  村松 知昭  加藤 隆  平林 裕樹  鈴木 省治  服部 良平 

抄録:

骨盤臓器脱と間違えられた尿道脱を2例経験した.症例1は87歳女性で,子宮脱疑いで婦人科クリニックから紹介された.症例2は84歳女性で,経腟メッシュ手術後の膀胱瘤の再発として総合病院泌尿器科から紹介された.いずれの症例も内診,膀胱鏡検査で腫瘤と腟口,外尿道口の位置関係を確認して尿道脱と診断し,4分円切除法で治癒できた.尿道脱は比較的稀な疾患で,泌尿器科医や婦人科医でも経験が少なく誤診する可能性があり,啓発が必要である.


出版年月日:
2019 , 
巻:
110 , 
号:
3 , 
ページ:
219-222 , 
ISSN:
0021-5287