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編集後記 CiNiiでみる

著者名:
瀧口 修司 

抄録:

出版年月日:
2019 , 
巻:
52 , 
号:
8 , 
ページ:
- , 
ISSN:
0386-9768

経直腸EUS-FNAと血管造影検査が治療に有用であった巨大小腸gastrointestinal stromal tumorの1例 CiNiiでみる

著者名:
深田 真宏  吉田 和弘  松橋 延壽  高橋 孝夫  棚橋 利行  松井 聡  今井 寿  田中 善宏  二村 学  山口 和也 

抄録:

症例は55歳の男性で,主訴は頻尿であった.近医での腹部超音波検査において12 cm大の骨盤内腫瘤を指摘され,精査加療目的に紹介となった.経直腸超音波内視鏡下穿刺吸引細胞診(endoscopic ultrasound-guided fine needle aspiration;以下,EUS-FNAと略記)を行った結果,gastrointestinal stromal tumor(以下,GISTと略記)と診断された.血管造影検査では腫瘍は上腸間膜動脈,下腸間膜動脈,両側内腸骨動脈の3領域から血流支配を受けていた.腫瘍の局在と血管造影検査の結果から,直腸>小腸原発と診断し,術前化学療法の後に低位前方切除と小腸切除を伴う骨盤腫瘤摘出術を施行した.術後病理組織学的検査では小腸原発のGISTの診断であった.GISTは腫瘍の増大に伴い複数の血流支配を受けることが報告されている.今回,我々は異なる3領域からの血流を受けた小腸GISTに対して経直腸EUS-FNAと血管造影検査を行い,治療方針決定に有用であった1例を経験した.


出版年月日:
2019 , 
巻:
52 , 
号:
8 , 
ページ:
475-483 , 
ISSN:
0386-9768

術前診断しえた副交通胆管枝を有する胆囊総胆管結石症の1例 CiNiiでみる

著者名:
阿部 紘丈  藤田 美芳  福島 正之  岡村 圭祐  森田 高行  平野 聡 

抄録:

胆道系の形態異常は比較的多く認められるが,副交通胆管枝は本邦報告例が2018年10月までに30例というまれな形態異常である.今回,我々は術前の画像検査にて副交通胆管枝を有すると診断できた胆囊総胆管結石症例を経験した.症例は52歳の女性で,一年前より胆石を指摘されており,心窩部痛と背部痛を自覚して当院を受診し,手術目的で入院となった.MRCP・DIC-CTにて胆囊・総胆管結石および胆管奇形を疑いERCPを施行したところ,胆囊管が合流する胆管が右肝管と交通しloopを形成していた.治療は内視鏡的乳頭切開による胆管結石の採石と腹腔鏡下胆囊摘出術を行った.副交通胆管枝の定義は「一定の肝区域をドレナージせず,主要胆管の間を交通する胆管」とされ,本症例も副交通胆管枝を有すると最終診断した.


出版年月日:
2019 , 
巻:
52 , 
号:
8 , 
ページ:
441-446 , 
ISSN:
0386-9768

異所性膵組織が発生母地と考えられたメッケル憩室癌の1例 CiNiiでみる

著者名:
櫻井 静  杉田 昭  大田 洋平  松島 小百合  近藤 裕樹  小林 侑華子  小原 尚  薮野 太一  高橋 正純  林 宏行 

抄録:

症例は69歳の女性で,腹痛と頻回の嘔吐を主訴に受診した.腹部造影CT所見で右下腹部に径4 cmの腫瘤と拡張した小腸を認め,回盲部腫瘤による腸閉塞と診断して手術を施行した.メッケル憩室先端に硬い白色腫瘤を認め,腸間膜と強固に癒着し,バンド状となり回腸のclosed loopを形成しており,悪性腫瘍の浸潤が疑われた.憩室の肛門側回腸近傍の腸間膜に腹膜播種と思われる白色結節を認め,回盲部切除術を施行した.病理組織学的検査所見で腫瘍はメッケル憩室の粘膜下層を中心に発生した低分化型腺癌で癌部周囲には異所性胃粘膜,異所性膵組織を認めた.免疫染色検査ではmucin core protein(以下,MUCと略記)-1,CA19-9陽性でcytokeratin(以下,CKと略記)7,CK20,MUC-6がいずれも陰性であった.腫瘍の局在と免疫組織学的検査所見からメッケル憩室内の異所性膵から発生した腺癌と診断した.腸間膜の小結節も同様の低分化型腺癌で腹膜播種であった.術後に施行したPET所見ではほかに集積を認めず,異所性膵組織原発の腺癌と診断した.


出版年月日:
2019 , 
巻:
52 , 
号:
8 , 
ページ:
465-474 , 
ISSN:
0386-9768

十二指腸乳頭部神経内分泌腫瘍に主膵管型膵管内乳頭粘液性腫瘍が併存していた1例 CiNiiでみる

著者名:
安次 富裕哉  渡邊 利広  菅原 秀一郎  蘆野 光樹  髙橋 良輔  中野 亮  樺澤 崇允  木村 理 

抄録:

症例は78歳の女性で,肝胆道系酵素の上昇のため当院へ紹介された.CTで十二指腸乳頭部に低濃度腫瘤を認め,動脈相では一部が高濃度に造影された.また,下膵頭後部に造影される腫大リンパ節を認めた.超音波内視鏡検査で主膵管内に高エコー腫瘤,膵頭部背側に腫大リンパ節を認めた.ERCPで主膵管内に腫瘍による透亮像があり,膵管内超音波検査では主膵管内腫瘍は乳頭部に連続していた.十二指腸乳頭開口部には露出腫瘤型の腫瘍があり,生検でtubulovillous adenomaであった.十二指腸乳頭部内分泌腫瘍もしくは十二指腸乳頭部癌の主膵管内進展として膵頭十二指腸切除術を施行した.病理組織学的検査ではリンパ節転移を伴う十二指腸乳頭部神経内分泌腫瘍と主膵管型膵管内乳頭粘液性腺腫が併存していた.このような症例は非常にまれと考えられ,術前診断も困難であった.


出版年月日:
2019 , 
巻:
52 , 
号:
8 , 
ページ:
456-464 , 
ISSN:
0386-9768

肝内胆管粘表皮癌の1切除例 CiNiiでみる

著者名:
林 沙貴  寺畑 信太郎  清原 薫  金木 昌弘  浅海 吉傑  野﨑 善成  吉田 貢一  菅原 浩之  家接 健一  酒徳 光明  垣内 寿枝子 

抄録:

症例は83歳の女性で,心窩部痛の精査目的に当院へ紹介となった.腹部CTで肝左葉外側区先端に径5 cm大の辺縁不整な腫瘤を認め,辺縁はリング状に造影されていた.明らかなリンパ節腫大や腹水,遠隔転移は認めなかった.肝内胆管癌を疑い肝外側区域切除術を施行した.術中,胃体上部前壁に径1.5 cm大の粘膜下腫瘍が疑われ同部を含め部分切除した.病理組織学的検索で肝外側区の腫瘤は粘表皮癌で,胃の腫瘤はその転移と診断された.手術関連合併症は認めないものの,発熱,食欲不振が続いたためCTを施行したところ,多臓器転移を認めた.肝内胆管由来の粘表皮癌は極めてまれであり,多臓器転移により予後不良とされる.手術施行例においても長期生存例は少なく,早期に発見し治療を行うことが重要と考えられた.


出版年月日:
2019 , 
巻:
52 , 
号:
8 , 
ページ:
447-455 , 
ISSN:
0386-9768

鼠径部ヘルニア術後長期成績と患者満足度の検討 CiNiiでみる

著者名:
高山 祐一  金岡 祐次  前田 敦行  深見 保之  高橋 崇真  宇治 誠人 

抄録:

目的:鼠径部ヘルニア術後は退院後初回外来で経過観察終了のことが多く,十分なfollowがされていない.アンケートで鼠径部ヘルニア術後の長期成績と患者満足度を調査し,術後followの在り方を知ることを目的とした.方法:2008年1月から2016年12月までに当院で手術を施行した鼠径部ヘルニア(1,936例,2,160病変)を対象に,アンケート調査を施行した.調査内容は,①患部(ヘルニアのあった部位)の痛み,しびれ,違和感の有無.②手術に対する満足度.③患部の腫脹の有無.④診察の希望の有無,とした.結果:回収率は77.1%(1,325例/1,718例).①痛みは16%,しびれは5%,違和感は24%.②手術に対する満足度は89%が満足と回答していた.合併症別の満足度は漿液腫では有意差は認めなかったが,再発,出血,感染,慢性疼痛があれば有意に満足度は低かった.③患部の腫脹は91例(6.9%)で腫れるとの回答があった.65例に診察を行い,11例(17%)に再発を認めた.④149例(11%)に診察希望があった.これらのうち119例に診察を行い,5例(4.2%)に再発を認めた.ほかに1例他院で再発手術を受けていることが判明した.アンケート調査施行前に判明していた再発は44例であり,アンケート調査により新たに11例再発と診断した.また,診察希望の理由の多くは不安を払しょくするためだった.結語:手術時にこのアンケート調査の結果を十分に説明し,希望があればいつでも再診するように説明することが必要である.


出版年月日:
2019 , 
巻:
52 , 
号:
8 , 
ページ:
413-422 , 
ISSN:
0386-9768

術前診断しえた十二指腸乳頭部癌肉腫の1例 CiNiiでみる

著者名:
金 翔哲  柴原 純二  杉山 政則  鈴木 裕  百瀬 博一  松木 亮太  小暮 正晴  横山 政明  正木 忠彦  阿部 展次  森 俊幸 

抄録:

症例は85歳の男性で,発熱,腹痛を主訴に精査を施行された.腹部造影CTで乳頭部に15 mm大の造影効果を伴う腫瘍性病変を認め,内視鏡検査で乳頭部の潰瘍腫瘤型の病変を認めた.生検組織のHE染色で未分化癌が疑われたため免疫染色検査を追加したところ,CKAE1/AE3(+),CK8/18(+),vimentin(一部+)であり,上皮性悪性腫瘍成分と非上皮性悪性腫瘍成分の混在する癌肉腫と診断された.幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行し,病理学的検査で十二指腸乳頭部癌肉腫と最終診断された.リンパ節転移は認めず,希望により術後補助療法は施行しなかった.術後4か月に多発肝転移を指摘され,さらに術後6か月で死亡した.


出版年月日:
2019 , 
巻:
52 , 
号:
8 , 
ページ:
432-440 , 
ISSN:
0386-9768

下部消化管穿孔110例の細菌学的検討 CiNiiでみる

著者名:
小峰 竜二  小林 隆  清水 篤志  南村 圭亮  森 和彦  平田 泰  相野田 祐介 

抄録:

目的:下部消化管穿孔の開腹時に採取した腹水培養の分離菌を穿孔部位ごとに調べ,分離菌と合併症発症および転帰の相関を検討し,下部消化管穿孔の経験的抗菌療法の適切な抗菌スペクトルの提示を試みる.方法:2011年1月から2016年12月までの5年間に治療した小腸以下の下部消化管穿孔110例を対象に後ろ向きに検討を行った.開腹時腹水培養分離菌と合併症発生,および転帰の相関をFischerの直接確率検定を用いた単変量解析で解析した.結果:Escherichia coliBacteroides属は穿孔部位によらず検出率が高く,混合感染は44%で見られた.Enterococcus属とKlebsiella属は単変量解析の結果,合併症の発生と相関が示された.特に,Klebsiella属は死亡割合とも相関した.結語:下部消化管穿孔の経験的抗菌療法としてはEscherichia coliBacteroides属,Klebsiella属,Enterococcus属がカバーされる抗菌スペクトルが適切であると考えられ,単剤ではβ-lactamase阻害剤配合抗生物質が適する可能性が示唆された.


出版年月日:
2019 , 
巻:
52 , 
号:
8 , 
ページ:
405-412 , 
ISSN:
0386-9768

拡大手術と術後化学療法で治癒した門脈腫瘍塞栓を伴う胃癌の1例 CiNiiでみる

著者名:
早稲田 正博  中野 浩  岡本 成亮  金 龍学  田中 茉里子  筋師 健  佐藤 良平  重田 孝信  高坂 佳宏  鈴木 哲太郎 

抄録:

症例は58歳の男性で,門脈腫瘍塞栓を伴う胃癌(cStage IIIB)および全周性の狭窄を伴うS状結腸癌(cStage II)と診断された.2011年の診断時には胃癌に対する術前化学療法が有効であるというエビデンスはなく,大腸癌イレウスのリスクを伴った結腸癌との同時性重複癌であったため手術先行治療を行う方針とした.術中所見で門脈の瘤状拡張を,さらに術中超音波検査で門脈本幹から左胃静脈内部に連続する腫瘍塞栓を認めた.門脈内腫瘍の一括切除は困難と判断し,左胃静脈を末梢側で一旦結紮切離のうえ,胃全摘(D2郭清)後に摘出した.病理所見では門脈内腫瘍は胃癌と同様の低分化型腺癌と診断された.術後化学療法(S-1およびCDDP)を術後18か月まで継続し,術後7年を経過した現在も無再発生存中である.予後不良とされる門脈腫瘍塞栓を伴う胃癌の治療方針について他の長期予後が得られた報告と合わせ検討した.


出版年月日:
2019 , 
巻:
52 , 
号:
8 , 
ページ:
423-431 , 
ISSN:
0386-9768

Segmental arterial mediolysisの治療 CiNiiでみる

著者名:
岩永 彩子  緒方 俊郎  爲廣 一仁  松浦 泰雄  木村 芳三  檜垣 浩一  猿渡 彰洋  廣方 玄太郎  青柳 武史  谷口 雅彦 

抄録:

目的:Segmental arterial mediolysis(以下,SAMと略記)の治療選択肢は多様化してきており,治療法の変遷と選択について検討した.方法:当院12例;2008年から2015年までにSAMと診断された症例について集計を行った.本邦症例報告100例;2004年から2016年までに医学中央雑誌に掲載された症例の検討を行った.結果:当院12例;年齢は中央値69(47~92)歳,男女比は6:6であった.主病変血管は肝動脈,胃大網動脈が3例ずつであった.単発10例,多発2例であった.治療法はTAE 8例,手術2例,治療不能1例,経過観察1例であった.在院日数は中央値23(10~165)日であった.在院死は2例で,退院後他病死が2例であった.8例は健在で1例に8か月後に他部位に再発を認めた.本邦症例報告100例;年齢中央値57(32~88)歳,男女比7:3であった.病変血管は,中結腸動脈が最も多かった.治療方法の内訳は手術52例,TAE 38例,経過観察10例であった.治療方法の時代変遷は2011年以降TAEと手術はほぼ同等になっていた.これらの比較検討では,non-responder,動脈瘤径が大きなものが有意に手術を,膵十二指腸動脈の病変は有意にTAEが選択されていた.再発,在院日数に有意差はなかった.結語:SAMの治療は,患者の全身状態と病変部位,病態を把握し,個々の症例に応じた適切な治療法を選択,施行することが重要であると考えられた.


出版年月日:
2019 , 
巻:
52 , 
号:
7 , 
ページ:
345-357 , 
ISSN:
0386-9768

編集後記 CiNiiでみる

著者名:
大幸 宏幸 

抄録:

出版年月日:
2019 , 
巻:
52 , 
号:
7 , 
ページ:
- , 
ISSN:
0386-9768

大腸癌肝転移に対する集学的治療―新たなエビデンスの創出をめざして CiNiiでみる

著者名:
別府 透  島田 光生  馬場 秀夫  遠藤 格  Popescu Irinel  吉野 孝之  小林 信  進藤 潤一  波多野 悦朗  今井 克憲  島津 元秀 

抄録:

目的:第71回本学会総会 パネルディスカッション4『大腸癌肝転移に対する集学的治療―新たなエビデンスの創出をめざして』の討論結果の共有を目的とした.方法:五つのポイントについてアンサーパッドを交えて討論を行った.結果:1.5個以上同時性肝転移に対して,手術先行が77%を占めたが肝切除先行は10%弱であった.広範囲肝切除+直腸切除症例においてはほとんどが分割手術を選択し,interval chemotherapyを行う施設が2/3以上であった.2.切除可能肝単独転移の治療方針を検討した.再発低頻度予測例では肝切除単独69%,肝切除+術後化学療法31%が選択され,再発高頻度予測例では90%以上の症例で肝切除+周術期化学療法が行われた.3.RASは77%で,BRAFは9%で測定された.Conversion therapyでは,oxaliplatinベースの化学療法+分子標的薬が頻用されたが,FOLFOXIRI±bevacizumabが期待されていた.その治療効果判定には,RECIST基準に加えてearly tumor shrinkageやdeepness of responseが活用されていた.4.腫瘍学的進行例で単回肝切除が困難な症例には化学療法が79%で先行され,門脈塞栓術後の肝切除と二段階肝切除がほぼ同数に選択され,associating liver partition and portal vein ligation for staged hepatectomy(ALPPS)の選択は1%であった.5.新しい臨床試験として,切除可能例に対するFOLFOX+LV/UFTによる補助療法,RASのstatusを考慮した補助療法,再発高危険群を対象とした組織学的効果を考慮した試験が,切除不能同時性肝転移に対する肝切除先行と大腸切除先行アプローチの比較試験が,提案された.結語:大腸癌肝転移の集学的治療の現状をまとめた.本領域のさらなる発展には臨床試験により,確固たるエビデンスを創ることが重要である.


出版年月日:
2019 , 
巻:
52 , 
号:
7 , 
ページ:
390-403 , 
ISSN:
0386-9768

固定術後に急激な血小板減少により脾摘した遊走脾茎捻転の1例 CiNiiでみる

著者名:
津嘉山 博行  橘高 弘忠  中山 伸一 

抄録:

症例は34歳の女性で,2日前から左側腹部痛を認め脾梗塞を疑い当院紹介受診された.腹部造影CTにて遊走脾茎捻転,脾梗塞と診断して緊急手術を施行した.術中所見では脾臓は後腹膜と完全に遊離しており脾動静脈を軸として時計回りに2回転し色調不良であった.発症から約8時間後に減捻すると色調は速やかに改善したため脾臓固定術を施行した.術直後より著明な血小板減少が進行し,後出血のため術翌日に再手術を施行した.再開腹時,腹壁から出血を認めたが,脾臓からの出血はなく腫大して表面に斑状の血流不良域を認めた.脾腫による血小板減少と診断して脾臓摘出術を施行した.術後は速やかに血小板の上昇を認め,術後13日目に独歩退院した.遊走脾茎捻転は捻転解除後に血流再開があれば温存することが望ましいが,本症例のように血流再開後に急激な脾腫に伴う血小板減少を来し脾摘を要した症例の報告例は過去にない.


出版年月日:
2019 , 
巻:
52 , 
号:
7 , 
ページ:
375-382 , 
ISSN:
0386-9768

腹腔内出血を来した膵漿液性囊胞腺腫 CiNiiでみる

著者名:
鈴木 俊裕  橋本 瑞生  長坂 暢  水谷 哲之  西村 元伸  藤原 玄  坂口 憲史 

抄録:

膵漿液性囊胞腫瘍(serous cystneoplasm;以下,SCNと略記)は悪性度が低い,まれな囊胞性腫瘤である.その大部分は良性の膵漿液性囊胞腺腫(serous cystadenoma;以下,SCAと略記)であり経過観察となることもあるが,腫瘍の増大に伴うさまざまな出血性合併症が報告されている.今回,腹腔内出血を来したSCAを経験した.73歳の女性が心窩部痛の増悪を主訴に来院した.画像検査で膵体尾部に14 cm大の多房性囊胞性腫瘍と血性腹水を認めた.SCNによる腹腔内出血と診断し入院した.経過観察で,症状は安定し貧血の進行も認めなかった.また,CTで血性腹水の減少を認めた.止血が得られたと判断し,待機的に膵体尾部脾切除を施行した.病理組織学的診断はmicrocystic typeのSCAであった.SCAは腹腔内出血を来しうる.自然止血し待機的に切除術が可能であった.出血性合併症の危険もあるため,腫瘍径の大きなSCAは外科的切除を考慮すべきである.


出版年月日:
2019 , 
巻:
52 , 
号:
7 , 
ページ:
368-374 , 
ISSN:
0386-9768

鼠径ヘルニア嵌頓を契機に発見された横行結腸穿孔の1例 CiNiiでみる

著者名:
大原 忠敬  楠本 長正 

抄録:

Richterヘルニアは腸壁の一部が嵌頓するヘルニアで,小腸が嵌頓することがほとんどであり大腸の嵌頓は非常にまれである.今回,我々は横行結腸がRichter型に嵌頓し穿孔したと考えられる鼠径ヘルニアの1例を経験したので報告する.症例は56歳の男性で,起床時より腹痛が出現,次第に増強し救急搬送された.右鼠径ヘルニア嵌頓と診断,還納できないため同日緊急手術を施行したところ,横行結腸の大網付着部に近接した腸間膜付着部対側が穿孔しており,内鼠径輪より脱出した大網に牽引されることにより横行結腸がRichter型に嵌頓して穿孔したと考えられ,穿孔部を切除閉鎖した後に鼠径ヘルニア根治術を施行した.Richterヘルニアは術前に確定診断をすることが困難な場合が多く,大腸を内容とする場合には特に腸閉塞症状が出現しにくいため診断の遅れから重症化しやすいと考えられる.腸閉塞症状を伴わない鼠径ヘルニア嵌頓症例においてはRichter型嵌頓を念頭に置き診療にあたる必要がある.


出版年月日:
2019 , 
巻:
52 , 
号:
7 , 
ページ:
383-389 , 
ISSN:
0386-9768

炎症性腸疾患症例における人工肛門関連合併症の検討 CiNiiでみる

著者名:
堀尾 勇規  池内 浩基  坂東 俊宏  蝶野 晃弘  佐々木 寛文  桑原 隆一  皆川 知洋  岡山 カナ子  内野 基 

抄録:

目的:炎症性腸疾患における人工肛門関連の合併症は,ステロイドの使用や低栄養などが原因となり,頻度が高いとされているが,報告は少ない.今回,我々は潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis;以下,UCと略記)とクローン病(Crohn disease;以下,CDと略記)の手術症例の人工肛門関連の合併症について明らかにすることを目的とした.方法:2014年1月から2017年4月までのUC手術症例326例,CDの腸管切除症例341例を対象とし,人工肛門を造設した症例についてloop式と単孔式に分けてその合併症と発生頻度を検討した.結果:UC症例302例に人工肛門が造設されていた.Loop式228例,単孔式74例で,合併症は,それぞれ118例(51%),21例(28%)に認められた.CD症例は68例で,loop式22例,単孔式46例であり,合併症は,それぞれ12例(54%),23例(50%)であった.両疾患を併せると,人工肛門周囲の皮膚障害の頻度が74/370例(20%)と最も高く,次いで人工肛門関連の腸閉塞が,46例(12%)に認められた.結語:炎症性腸疾患の人工肛門関連合併症は,人工肛門周囲の皮膚障害が最も多かった.また,人工肛門関連の腸閉塞の頻度が12%に認められ,全例UC症例のloop式の人工肛門であった.


出版年月日:
2019 , 
巻:
52 , 
号:
7 , 
ページ:
358-367 , 
ISSN:
0386-9768

直腸間膜内の膿瘍形成に対して直腸内腔へのドレナージ術を行った後に根治切除した直腸癌の1例 CiNiiでみる

著者名:
崔 尚仁  平松 聖史  雨宮 剛  関 崇  陸 大輔  田中 征洋  藤枝 祐倫  田畑 光紀  新井 利幸 

抄録:

症例は75歳の男性で,肛門痛を主訴に当院を受診した.造影CTで直腸RaRbに造影効果を伴う不整な壁肥厚像と左側主体の直腸壁外の膿瘍形成を認めた.まず,局所の感染コントロール目的に腰椎麻酔下に膿瘍の切開ドレナージ術を施行した.直腸癌の播種の可能性を考慮し,腫瘍肛門側の直腸粘膜を切開し直腸内腔へ排膿した.膿瘍が軽快した後に根治手術を行い,膿瘍を形成していた瘢痕組織も含めen blocに切除した.病理学的に腫瘍はpT3(A)であったが,剥離面への腫瘍の露出はなくRM0であった.術後5年無再発生存中である.膿瘍形成を伴う直腸癌は肛門周囲膿瘍と同様のドレナージを行うと癌腫が肛門周囲組織へ播種し根治性を損なう可能性がある.本症例は,主病変肛門側の直腸を切開し直腸内腔へ排膿を行い,待機的に膿瘍腔も含めて切除し良好な転帰が得られ,かつ肛門を温存することが可能であった.


出版年月日:
2019 , 
巻:
52 , 
号:
6 , 
ページ:
319-326 , 
ISSN:
0386-9768

編集後記 CiNiiでみる

著者名:
黒柳 洋弥 

抄録:

出版年月日:
2019 , 
巻:
52 , 
号:
6 , 
ページ:
- , 
ISSN:
0386-9768

ニボルマブの使用によりリウマチ性多発筋痛症を発症した直腸肛門部悪性黒色腫術後再発の1例 CiNiiでみる

著者名:
末次 智成  吉田 和弘  松橋 延壽  高橋 孝夫  棚橋 利行  松井 聡  今井 寿  田中 善宏  山口 和也  宮崎 龍彦 

抄録:

症例は78歳の男性で,肛門出血を主訴に当科紹介受診し,下部直腸から肛門周囲皮膚に広がる悪性黒色腫の診断で腹腔鏡下腹会陰式直腸切断術を施行した.深達度MPで1群に3個のリンパ節を認めたがR0切除された.術後1か月で多発肝転移,肺転移再発を認めたためニボルマブを3 mg/kgで投与開始した.投与翌日より四肢近位筋を主体とする筋肉痛が出現し強い炎症所見も伴った.感染徴候はなく,自己免疫性疾患に特異的な抗体も検出されなかった.NSAIDsでの改善なく,プレドニゾロン10 mg内服にて症状は著明に改善し,ニボルマブによる薬剤性のリウマチ性多発筋痛症と診断した.さらに,ニボルマブの投与を3コース継続したが病勢の進行が早く初回手術から89日目で原病死した.消化器外科領域ではニボルマブの投与経験はまだ少ないが,自己免疫疾患などの重篤な副作用が出現する可能性があり投与後に慎重な観察を必要とすると思われた.


出版年月日:
2019 , 
巻:
52 , 
号:
6 , 
ページ:
327-335 , 
ISSN:
0386-9768